弘法大師ゆかりの見残し滝

『十津川郷の昔話』に、

弘法大師ゆかりの

"見残し滝"についての

記述があります。

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「上湯川の上流、古谷[ふるや]川に

今でも"見残し滝"というのがある。

これは、大師さまが、谷々を調べ数える

うちに、この滝だけ見落したらしく、

それでその名がついたらしい。

この見残し滝は、寺垣内[てらがいと]の

少し上の、大野というところにあるのじゃ」

…と。

"弘法も筆の誤り"ではなく

"弘法も滝の数見落とし"

ということ?だろうか。

弘法大師さんも苦労していますね(苦笑)。


とはいっても、この記述には見残し滝の存在、

位置がはっきりしません。

伝承は伝承ということ、現実ではない?

 


しかし、必ずしも、

火のないところに煙はたたない?…だろう…し。


そうこうしている間に、

『上湯川郷土誌』(上湯川小学校編)の

古屋川周辺の屋号が書かれた地図に

"見残し谷"という谷名を発見。

概念図とはいえ、

まずまず谷位置程度は特定できそうです。

滝の記載はありませんが、滝の所在へ

一歩近づいたとも言えます。


あとは、現地での探索!…、ということで、

上湯川で聞き込みを開始。

寺垣内のT氏から滝についての有力な情報…、

いよいよ"見残し滝"の探索スタートです。


また近くを通りかかったおじさんからは、

更なる有力情報をいただき、

かなり現実味を帯びてきました。


古屋川入口で車を駐車、歩行開始。

荒れた舗装村道を終点近くまで進んだのち入渓。

谷の遡行30分ほどで大きな釜を持つ

二条の滝に到着。

先ほど聞いていた有力情報と合致、

滝落ち口に懸かる、"見残し滝"との対面です。


火のないところに煙はたたない?…、

といっても、

まさか、こんなに簡単に、

念願の"見残し滝"の探索に成功するとは…。

T氏の情報もさることながら、

地元の方々によって「むかし話」が

大切に語り継がれているのかも知れませんね。

上湯川のみなさん、ありがとうございました。

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【「上湯川郷土誌」より】

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【古屋川入渓地点】

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【二条の滝】

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【二条の滝と右手が"見残し滝"】

f:id:hikojima:20190921095952j:plain【見残し滝】

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