十津川村果無の境目滝(おん滝・めん滝)へ

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『十津川郷昔はなし』掲載の

「さいめん滝のたたり」の舞台とされる、

十津川村果無の

「境目滝(サイメキ・サイメンタキ)の

雌滝・雄滝」に行ってきました。

 

境目滝は、果無山脈の南面を源流とする

フリウキ谷に懸かる二段滝です。


『十津川郷昔はなし』の詳細については

『十津川郷昔はなし』を参考にして下さい。

"境目滝に主が住んでおり、谷を穢したりすると、

祟られると恐れられていました。

そのことを確かめようとした村の住人が

滝の主に祟られたという話しです"

 

さて、奈良県名勝記』には、

境目滝について

「同村大字桑畑ニ在り 

上下二層ヲ為ス 

上層ヲ雄瀑ト称シ 

下層ヲ雌瀑ト名ツク 

雄瀑高九丈 

雌瀑高八丈四尺濶各六尺」

と記されています。


また『十津川郷村誌』には、

「境目瀑(サイメタキ) 

牡牝(オンメン)ノ称アリ、

中段ヨリ上ヲ牡瀑ト称ス、

高九丈、幅一間、

中段ヨリ下タヲ牝瀑ト称ス、

高八丈四尺、幅一間、

水源ヒソ山ニ発シ 

フリウキ渓ニアリ、

両瀑左右ニ樹木鬱蒼タリ、

水声雷鳴ヲナス、

実ニ凄然タリ、

晩近迄土人雨ヲ茲(ココ)ニ祈ル、

輒(スナワ)チ験アリト云フ」

と、詳細な記述がされています。


ここで水源ヒソ山とあるのは、

現在の石地力山と考えられます。


奈良県名勝記』

『十津川郷村誌』ともに、

境目滝の雄瀑 約27メートル、

雌瀑 約25メートル、

高さは一致します。

しかし実際の高さは、雄滝・雌滝ともに、

10メートル足らず、かなり誇張されています。


ちなみ『十津川郷昔はなし』では、

上流側の滝を「さいめん滝」、

下流側の現在「果無めん滝」の看板のある滝を

「さいめん滝のもう一つ下にある滝」という

表現になっています。

いやいや ややこし~いです…。

と言う訳ですが、上下合わせて、"さいめん滝"でも、

間違いではなさそうです。

ともあれ、

ここでは、

奈良県名勝記』

『十津川郷村誌』の

記述を採用し、

二段滝の上流側の滝を

境目滝の雄滝、

下流側の滝を

境目滝の雌滝としました。


昭文社発行の『高野山熊野古道』の地図において、

初版の2018年版では、めん滝としていましたが、

2019年版については、

境目滝雌滝(めんたき)・雄滝(おんたき)に修正しました。

 

時代ともともに、いろいろ変化するものですが…、

滝の名称などは、

そう易々と変わってほしくないですね。

  

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雌滝(めんたき)】

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【境目滝(サイメタキ・サイメンタキ) 

雄滝(おんたき)】

滝落ち口から覗く

滝前に行くには、雄滝の滝落口へのそま道途中に、

降り口がありますが、

この時期は、草が生い茂り、

ブッシュ覚悟となりそうです。

今回は、無理しません。

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小辺路ルートの果無集落

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