花折塚を起点に、大峰山脈支稜の囁山(卯月山)・
善山(斧山)を歩いてきました。
[3D-GPS軌跡]
[玉置山展望台から奥高野の山々、囁山・善山を望む]
小原峯・行仙岳、その奥には、
護摩壇山から伯母子岳へと続く山稜
[果無山脈方面を望む]
牛廻山から鉾尖岳・護摩壇山を望む
花折塚は、
大塔宮護良親王が十津川郷に落ちられたとき、
討死したとされるところで、
後年、道行く人々が、八郎の忠節を偲び花を
折って供えたところから折華塚［おりはなづか］、
後に花折塚と呼ばれるようになったと
伝えられています。
花折塚から北西方向に、囁山・王走嶺、そして
善山(斧山)の支稜が連なっています。
現在、善山は斧山、そして囁山は、卯月山と
呼ばれていますが、
ここでは、大塔宮ゆかりの山として、
あえて囁山・王走嶺・善山という山名を
使わせていただきます。
『十津川郷村誌』の「折立村誌」には、
囁山について
「本村ノ艮位ニ当リ (略)山脈ハ東南玉置峯（前ニ記ス）ヨリ連リ
西位善山ニ延亘ス、(略)」。
王走嶺については
「此ノ嶺ハ 本村ノ北ニ当リテ
東囁山ニ連リタル山ナリ、故ニ
親王ノ御馳ケ走ラセ玉フト、仍テ王走ト今伝フ」
また、折立村の境界を示す説明では
「鳥居ノ本道（熊野街道）ヨリ 野径ニ沿ヒ
囁山、王走往方見辿ニ至リ、善山ノ山頂ニ達シ」
とも記されています。
同じく「高滝村誌」には、囁(尾)山について
「此ノ山ハ 南ハ折立村ニ属シ、
北ハ本村ニ属ス、昔シ護良親王ノ熊野ヨリ入リ
御通路ノ節、字横嶺ト云フ所ニテ不図モ賊来リ
逼リテ捕リ奉ラント、親王コノ虎ロヲ遁レテ
コノ山ニ落チ給ヒテ、王敵ノ如何ヲ見ヨト、
侍臣ニ御囁キナサレシナリト、之ニヨツテ
囁キ山トハ云伝フルナリト」
と、また、善山については
「護良親王ノ囁尾山ヨリ王走ヲ経テ
此ニ遁レテ 暫時御休息ナサレシトキニ
四方ヲ見給ヒシニ、実ニ善山ナリト
御語リナサレシナリト、
以来称シテ善山トハ云フナリ」
と記されています。
以上のことから、大塔宮たち一行が
花折塚からの逃走ルートとして
「囁(尾)山」「王走嶺」「善山」へと続く
大峰山脈の支稜を選んだことが読み取れます。
しかし、残念ながら、十津川村の地図からは、
大塔宮ゆかりの「囁(尾)山」「王走嶺」「善山」
といった山名が消え去っています。
『十津川郷村誌』が編纂された明治16年以後、
そして北海道への移住、
の出来事がそうさせたのでしょうか…。
『十津川郷村誌』のはじめにの文章に
「十津川郷が近代社会に呑み込まれていく
寸前の姿が記述されていることである」と
記載された文章が印象的に残っています。
[明治期の5万分の一地形図]
[左から善山、王走嶺・囁山へと続く山稜]
右の高く見えている山が囁山、
すぐ右の小さなピークが王走嶺。
左下に見えている集落が折立
[花折塚]
[花折塚の説明札]
[花折塚に立つ北又谷への道標]
[花折塚から囁山に向かう旧道]
かなり荒れ気味。すぐ前が林道
[作業道との出合]
左が花折塚への旧道
右が作業道となった玉置神社への道
[高滝辻]
右が折立、左が高滝集落へのルート。
ここでは、中央の尾根を登る。
[一の鳥居跡付近]
高滝辻を振り返って撮影。
正面に小さく見えているのが玉置神社への丁石
[三等三角点の石標と卯月山の道標]
ここが囁(尾)山山頂
[すぐが王走嶺のピーク]
[キノコがいっぱい]
ベニナギナタダケ
[善山の山頂]
【コースタイム】
横峰P(10:35)---(10:40)花折塚(10:45)---(10:50)林道----(11:15)作業道合流---(11:20)高滝辻(11:30)---(11:50)囁山(12:30)---(12:40)王走嶺---(13:25)善山(13:55)---(14:40)-王走山--(15:00)囁山---(15:15)高滝辻---(15:40)横峰P
