不動地の嶺から迫辻へ。釈迦ヶ嶽登拝の道

2月に歩いた「ヒバン平嶺」から続く

稜線道を歩いてきました。

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hikojima.hatenablog.com

中谷の集落は、畔田翠山の『和州吉野郡群山記』に

釈迦ヶ岳登拝の経路として

「中谷村 釈迦嶽へ六里。

人家十四、五軒有り、この所より

迫村へ行く道有り…(中略)

沢の谷 不動地へ一里」とあり、

不動地の嶺が紹介されています。

また、『十津川郷村誌』の内原村村誌には、

「北ハ 旭村字不動地ノ嶺ヲ以テ界トス」と…

境界についての記載もあります。


ちなみに、"不動地の嶺"には、

三等三角点の「不動地」が置かれており、

所在を示す「点の記」には、

"大字旭 字サワノ谷"、

俗称「不動地」とあります。

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また釈迦ヶ岳登拝の経路について、

『和州吉野郡群山記』の「釈迦嶽記」に、

下記のように詳しく紹介されています。

 

『中谷村 釈迦嶽へ六里。

人家十四、五軒有り、この所より

迫村へ行く道有り。

迫村まで十八丁。

釈迦嶽に登るに、村の中を右にとり行けば、

長ひぢき坂と云ふ有り。

それより下尾谷に至る。

木橋有り。山の原を通る。丸木橋有り。

それより急なる登り坂有り。

小石道にして嶮し。

長き事三十六丁。

これを尾木の尾と云ふ。

嶺に林有り。板木の轟と云ふ。

道の右なり。

それより山の峯を伝ひ、沢の谷に登る』、

 

続いて、

 

『沢の谷 不動地へ一里 

沢の谷の登りより迫村、左の谷に見ゆ。

向ふに釈迦嶽、七面の巌見ゆ。

七面のくらと云ふ。

左の方向の山に、布引滝見ゆ(長さ三十尋余なり)。

(中略)


不動地、はせの木坂へ二里余。

二丁ばかり行き、道十字となる。

右に下れば栗平村道、左に下れば迫村へ行く。

釈迦嶽へ登るは、直に行くなり。

この辺、菅・芒野山なり。

この処を、せ辻と云ふ。……』。

 

と言うことで、

まずは旭ダムに向かう途中の

"知る人ぞ知る"枝垂れ桜の里、

中谷集落を目指します。

下切橋を渡ってすぐ、中谷へ。

桜の花は、やや満開を過ぎたところだろうか?。

しかし、今朝からの薄どんよりとした天気を

打ち消すかのような枝垂れの競演!!です。


いっきに尾根を登って主稜線に出て、

自然林のなだらかな起伏の稜線道を進み、

ミヤ谷の頭から不動地の嶺へ。

現在、釈迦ヶ岳の登拝道を

特定することができませんが…、

ほぼ稜線伝いに釈迦ヶ岳を目指した…

と思われます。


さて、

不動地の嶺山頂の住所(字)は

"サワノ谷"で、

『和州吉野郡群山記』の中では、

『山の峯を伝ひ、沢の谷に登る』とあり、

この付近のことを表しているのではないか

と思われます。

雨模様の天気を気にしながら…、

不動地の嶺で、昼食をとった後、早々に下山開始。

 

迫辻に下り、栗平と迫村間のかつての峠越えの

古道探索をしましたが、

痕跡を見つけることが出来ませんでした。

踏み跡の薄い古道をいっきに下って奥吉野発電所へ。

サクラ満開の下で頂くコーヒーは格別でした。

300名山を目指しているという夫婦の車に

乗せていただき、中谷に戻ってきました。

曇り空の中、

晴れやかなハイキングを楽しみました。

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大峰山脈と其谿谷】より

大峰山脈と其谿谷』(朋文堂)「昭和9年発行」より

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【翠山自画の釈迦嶽西の方より見る図】

『和州吉野郡群山記』所載(大阪市立博物館蔵)より

不動地の次は、"赤木坂"のようです

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【中谷の枝垂れ桜】

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【支尾根を登っていきます】

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【ミヤ谷の頭】

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【稜線道から下辻山方面を望む】

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【きれいな自然の稜線道】

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【崩壊地】

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【主稜線の道】

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【不動地の嶺山頂】

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【不動地の嶺の三等三角点】

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【迫辻、迫村方面を望む】

古い林道が通っていました。

そして、この付近には、

栗平と迫の集落を結ぶ峠越えのルートが

存在していたはずですが…。

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【奥吉野発電所

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【奥吉野発電所の桜

ここでは、桜が満開でした

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【旭ダム貯水池の桜】

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【旭ダム貯水池】

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[コースタイム]
(8:15)中谷(8:25)-(9:40)主稜線(9:45)-(10:20)ミヤ谷の頭(10:25)-(11:15)不動地の嶺(11:45)-(12:00)迫辻(12:05)-(13:35)奥吉野発電所(13:55)==[車]==(14:15)中谷