【大塔の宮が越えたという三里ヶ峰】

切目川沿いの印南町上洞から

龍神村に越える古道、

「三里ヶ峰越え」を歩いて

きました。

[GPS-3D軌跡]

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三里ヶ峰越えは、印南町から龍神村

に越える古道(切目畝[※1])で、

大塔の宮も歩いた道と伝えられてい

ます。

そうした古道の現在の状況を

確かめたくて、


今回、印南町上洞から三里ヶ峰、

僧屋敷跡近くまでを往復してきました。

[GPS-軌跡]

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[樹林のすき間から清冷山を望む]

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印南町上洞にある店の主人は、

子供の頃の遠足と言えば、三里ヶ峰

越え途中の「蝙蝠岩[※2]」であったと

懐かしそうに話してくれました。


さて、三里ヶ峰越えに入って、

歩き始めは、脈々と受け継がれてきた

であろう古道の息遣いを感じさせてく

れる道が続きます。

しかし、その思いは、すぐに打ち消さ

れてしまいました。

三里ヶ峰の南山腹に入ってからは、

枯れ枝が道を覆っていたり、

小さな山抜けもあり、古道としての

荒れが進んでいるように感じました。

かつて賑わった道とはいえ、使われ

なくなった道の運命のような、現実

の厳しさをまざまざと見せつけられ

たように気がしました。

それでも、今日も一日、楽しく歩い

てきました。

[上洞休場 ここから三里ヶ峰に入る]

紀伊風土記』に

「山上に祠あり……(中略)……

村名是より起るといふ」とあり、

上洞の名は蝙蝠岩(コウモリ岩)に

由来しています。

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[休場 三里ヶ峰越え]

咲き始めた彼岸花がきれい

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[休場 三里ヶ峰越え入口付近]

f:id:hikojima:20170922105131j:plain[金刀比羅宮]

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[三里ヶ峰越え古道]

ウバメガシの林を進む

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[蝙蝠岩が見えてきました]

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[蝙蝠岩]

大きさを実感してください 。

名前の由来は、大塔の宮または

空体上人が籠られた=こもり岩と、

蝙蝠が住んでいたからという

二つの説があります。

国土地理院の地図には「蝙蝠岩」の位置が、

約1キロメートルほど西側に記載

されています。

正しくは、地図記載位置から

1キロメートルほど東側です。

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[蝙蝠岩から南部湾を望む]

中央の小さな島影が「鹿島」です

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[蝙蝠岩]

中央から見た蝙蝠岩 

f:id:hikojima:20170922105217j:plain[『紀伊国名所図会』に描かれた蝙蝠岩]

見比べてください

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[蝙蝠岩の中ほどに小さな穴が…]

ここで、大塔の宮が籠られたのだろうか?…

蝙蝠が住んでいるのだろうか?…

中に入れそうですが……

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[辻地蔵]

「右かわまた 左かぶらへ」の道標 

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[僧屋敷跡]

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[樹林のすき間から矢筈岳を望む]

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[地蔵尊]

「右みなべ川 左さんぢ」の道標 (?)

この道標石像の位置が不自然です。

近くに分岐らしきところがありません

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※1.2とも『紀伊国名所図会』より
※1【切目畝】
上洞(かぼら)村より南に登る事五十町許(ばかり)にして、切目畝(きりめうね)の山上に至る。夫より峰通(みねどおり)を東にゆきて、山地荘上福井村(かみふくいむら)に至るを、三里がうね越えとも切目畝越えともいふ。龍神道なり。
※2【かうもり巌】
切目うね通の路傍、怪巌壁立し、二石の間に穴あり、わずかに匍匐(ほふく)して入るべし。穴中の廣さは、平均して畳三十枚を敷くべし。往年上洞の僧、この穴にて入定せしとて、其骨今も残れりとふ。

 

【コースタイム】
7:50上洞休場08:00-09:00国土地理院の「蝙蝠岩」9:05- 9:30蝙蝠岩09:45-10:15辻地蔵10:25-10:40等三角点10:45-10:55三里ヶ峰-11:25僧屋敷11:25-12:20展望所(昼食)13:00-13:00引き返し-13:25僧屋敷13:30- 14:15辻地蔵-14:30蝙蝠岩14:35-16:00上洞休場